歯周病って、なに?

放っておくと歯を失ってしまう、歯ぐきと歯を支える骨の病気です。

いっけん問題なさそうに見えますが・・・
X線写真で見ると歯を支える骨がなくなってきています

歯周病の原因菌を含むプラーク(細菌のかたまり)によって炎症が起こります。生活習慣病によっては、歯周病を悪くさせるものもあります。

健康な状態と 歯周病にかかった状態

なぜ、歯周病になるの?

歯周病は、歯と歯ぐきの間に入り込んだ歯周病原菌と全身や生活習慣の問題から起こる病気です。

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どのように進行するの?

歯周病の初期段階の“歯肉炎”は、子どもを含むほとんどの年代の人に見られます。歯肉炎をそのまま放っておくと“歯周炎”に進行します。“歯周炎”は歯ぐきの状態が悪化し、歯を支える骨も破壊されるため歯がぐらぐらと動くようになり、最終的には抜けてしまいます。

歯肉炎~軽度の歯周炎

歯肉炎~軽度の歯周炎

歯と歯ぐきの間にプラークがたまって歯ぐきが腫れ、出血しやすくなっています。歯を支える骨にはまだあまり影響がありません。

次

中等度歯周炎

中等度歯周炎

歯周ポケットが形成され、歯石が深部まで付着し、歯を支える骨を半分くらい失っています。

次

重度歯周炎

重度歯周炎

歯を支える骨がなくなってきて、歯がくらつき、このまま放っておくと歯が抜けてしまいます。歯ぐきが下がる、膿がでるなどの症状もみられます。

歯周病はどうしたら治るの?

セルフケアとプロフェッショナルケアが必要です。患者さんと歯科医師・歯科衛生士が連携し、歯周病を治していきます。

セルフケア

セルフケア

プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケア

歯周病の治療には相応の時間がかかります。根気よく治療を続けましょう。

監修:須貝歯科医院 須貝昭弘 先生 デンタルなぜ?なに?part2より引用

歯周病と全身の関係

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歯周病は歯周病原菌やその内毒薬(LPS)によって引き起こされる慢性炎症を伴う疾患です。最近の研究により歯周病原菌やその内毒素、炎症性サイトカインが血管を通じて、歯周ポケットから全身に影響を及ぼすことが明らかになってきました。また、一方では糖尿病や骨粗鬆症が歯周病の進行を早めることもわかっています。

歯周病を単なる口腔疾患としてではなく、全身疾患の一部として捉えることが歯周病の予防、さらには生活習慣病などをはじめとした全身疾患の予防と治療につながると考えられます。

歯周組織の生体力が低下する要因は?

生活習慣が歯周組織の生体力に影響!

歯周病の原因はプラークに潜む歯周病原菌なのは言うまでもありませんが、近年、ストレスや喫煙、食生活などの生活習慣とも密接に関わりあっていることがわかってきました。歯周病が「生活習慣病」と言われるのも納得ですね。
また、糖尿病や骨粗鬆症といった疾患とも関係があることがわかってきました。心身ともに健康に過ごすことは、歯周病を防ぐためにも大切です。

歯周組織の生体力が低下する要因

◇食生活
ある種の栄養素が不足すると、 歯周病になりやすくなるといわれています。生活のリズムを考慮した、バランスの良い食事を心がけましょう。

◇ストレス
免疫機能不全や、生活リズムのみだれによるブラッシング不足、歯ぎしり、噛みしめなど、歯周組織に悪影響を与える原因になるといわれています。

◇薬の副作用
唾液の分泌が減少、口腔内が乾燥して、プラークを増加させます。
そのことにより、歯周病を悪化させる可能性があります。

歯周組織の生体力×年齢

高齢になるほど、生体防御機能が低下。
年をとると歯周病になりやすく、その病状は進行しやすいと考えられています。歯周病は細菌感染症です。年齢の如何にかかわらず、口腔内が不潔になると歯周病原菌が増えますが、身体はそれらを排除するように働くのが生理的な姿です。年をとると、この防御機能が弱くなるのです。

歯周組織の生体力×糖尿病
歯周病は糖尿病の第6番目の合併症。
糖尿病患者は、抗体産生がうまく働かないなど免疫機能に低下が生じています。また、創傷治癒に必要な線維芽細胞の増殖やそのコラーゲンの形成(合成)能力も低下しています。これらのことが歯周病の発症や進行に影響を及ぼすと考えられています。

歯周組織の生体力×喫煙
喫煙者ほど歯周病になりやすく、治りにくい。
喫煙の習慣があると、歯周病が発症・進行する危険度が2~8倍高くなり、歯周病原菌の数が2倍以上になることが報告されています。これはタバコの煙の中に含まる有害物質が、防御機能の低下や毛細血管の収縮による局所的循環障害を起こすことによるものだと推測されます。

糖尿病は歯周病を悪化させる!?

歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれているように、糖尿病愚者では歯周病の発症や進行のリスクが高いことがわかっています。これは、歯周組織においても、免疫機能の低下、代謝異常、微小血管障害などが起こり、歯周病原菌に感染しやすく、組織の破壊が起こりやすくなるためだと考えられています。

高血糖状態では血中のタンパク質が糖化されており、糖化されたタンパク質は免疫細胞(マクロファージ)を刺激して、炎症性サイトカインを過剰に産生させます。このサイトカインが歯周病の炎症症状を強め、歯周組織に破壊を招くと考えられています。

糖尿病者と非糖尿病者における歯周病の重症度比較

歯周病も糖尿病に影響を与える!?

最近では、歯周病も糖尿病へ影響を及ぼすと考えられるようになってきました。
歯周病が進行した状態では歯周病巣から炎症性サイトカインが産生されます。この炎症性サイトカインが口腔内の毛細血管を伝って血中に入ると、ますますインスリン抵抗性が増すことになり、糖尿病の症状が進行します。
逆に、糖尿病患者の歯周病を治療することで血糖コントロールが改善し、重症度の指標である血中HbA1C濃度が0.5~1%低下するとの報告があります。
これは、歯周組織から分泌される炎症性サイトカインが抑制されて、インスリン抵抗性が改善されるためとも考えられています。

歯周病の治療による血糖コントロールへの影響

歯周病の患者さん、こんな時は糖尿病を疑ってみて!

糖尿病の早期段階では自覚症状が乏しく、自分では糖尿病だと気がつかないことが少なくありません。そのためか、糖尿病の疑いが強い人は約740万にもいるのに、治療を受けている人は約半数というのが現状です(平成14年糖尿病実態調査より)。

歯周病などを訴えて来院されている患者さんの中には、糖尿病の治療を受けていない人や、糖尿病であることに気がついてらっしやらない方も多いのではないでしょうか。
糖尿病にり患していると、口腔内の乾燥や喉の渇きがあったり、独特な口臭や創傷部位が治癒しにくかったり(炎症がおさまりにくい)というお口に関連した症状もみられることがあります。歯周病などを訴えて来院されている患者さんにこのような症状が見られたときには、糖尿病を疑ってみてください。糖尿病でなくても、糖尿病の予備軍である高血糖の状態かもしれません。
糖尿病の患者さんの治療では、低血糖性ショックや高血糖性昏睡を起こすことがあるので、治療前、治療中そして治療後に十分な配慮が必要となります。

<糖尿病の一般的な症状>

  • このごろ太ってきた
  • 食べても食べてもやせる
  • とても喉が渇く
  • 食欲がありすぎていくらでも食べられる
  • おしっこの回数が増えて、量も多い
  • 尿のにおいが気になる
  • 全身がだるい
  • 疲れやすい
  • 肌がかゆい、かさつく
  • 下腹部がかゆい
  • 手足がしびれたり、ピリピリする
  • 視力が落ちた気がする
  • 立ちくらみがある
  • 甘いものが急に欲しくなる
  • ちょっとしたやけどや傷の痛みを感じない
  • おしっこが出にくく、出ても残った感じがする
  • 足がむくむ、重くなる

歯周病を治療すると糖尿病もよくなる

歯周病は、網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞、脳梗塞に次いで、糖尿病の第6番目の合併症といわれ、糖尿病が歯周病を引きおこすことは、よく知られていました。さらに、最近では、歯周病が糖尿病を引きおこしたり、悪化させることもあり、歯周病を改善すると、糖尿病の状態もよくなるということもわかってきました。

歯周病が糖尿病を引きおこすメカニズム

image-yano003.jpg●歯周病による慢性的な炎症が糖尿病を悪化させるという考え方が発表されている(Br1.Med.J)

TNF-α

炎症性サイトカインの一つで、もともと腫瘍を壊死させる働きがあるサイトカインとして発見された。TNF-αが増えすぎると、インスリンの働きを妨げるといわれている。

炎症性サイトカインとは:サイトカインとは、細胞から出てくるたんぱくで、それに対する受容体をもつ網胞に働きかけ、細胞を増やしたり、機能させたりする。炎症によって出てくるサイトカインを炎症性サイトカンという。

インスリン

インスリンは、すい臓で分泌されるホルモン。血糖をコントロールする。

8020推進財団「体の健康は歯と歯ぐきから」より引用

糖尿病の方が歯周病を治療すると、このようなメカニズムが遮断されて、糖尿病が改善されていきます。 ※ただし、個人差があります。

歯周病改善のための歯周病の治療予防とは

糖尿病に罹っていて、歯周病もある方は早期にかかりつけ歯科医にて治療を行い、口腔内の情況を改善していかなければなりません。また現在歯周病でない方や、歯周病治療が終了した方は、しっかりした予防が必要です。

予防には欠かせないセルフケアとプロフェッショナルケア

予防には欠かせないセルフケアとプロフェッショナルケア

歯周病予防には、歯みがきなどのセルフケアに加え、歯科医師や歯科衛生士など、専門家のサポートも欠かせません。

かかりつけ歯科医は「歯の健康のサポーター」

どんなにていねいにみがいていても、残ってしまう汚れがあるもの。歯周病を防ぐには1年に1~2回は歯科医師にチェックしてもらいましょう。かかりつけ歯科医を決め、定期的に診察を受けておくと、お口の中のちょっとした変化にも気づいてもらいやすくなります。

歯周病と喫煙

喫煙は、さまざまな全身疾患や歯周病の大きなリスクファクターです。そのため、今回はこのシリーズで喫煙を取り上げることにしました。歯周病と喫煙との関連の話の前に、ますは喫煙について少し説明させて頂きます。

喫煙率の年次推移(20歳以上)

喫煙率の年次推移をみてみると、男女共こ平成16年に比べ低下し、男性39.3%、女性11.3%となっています。

未成年の喫煙経験率(学年別)

未成年の喫煙率は男女共に学年があがるにつれて増加しています。喫煙の動機は好奇心」や「何となく」が多く、たばこは自動販売機や小売店で容易に入手しているようです。また、未成年の喫煙行動は、友人、親、兄弟、教師などの喫煙と密接な関係があるようです。


それでは、喫煙と歯周病との関係についてご紹介していきます。

喫煙は歯周病の最大のリスクファクター

喫煙者は歯周治療が困難に・・・

タバコを吸っていると、歯周病になりやすいだけではなく、歯周病に罹ってしまった時の治療効果もでにくくなります。喫煙者がSRPなどの非外科的処置を行った場合の改善効果は、非喫煙者の50~70%で、抗生物質の局所投与を併用することでようやく非喫煙者の非外科的処置のみと同じ程度の治療効果が得られるといわれています。また、喫煙者のインプラント治療の失敗率も非喫煙者の2倍といわれています。
(Periodontology 2000,44,2007,178-194:表3)

喫煙者は歯周病の症状の現れ方が違う?

喫煙者は、血管が収縮しているため、出血がおこりにくかったり、発赤していなかったりすることがあり、歯周病にかかっていることを自覚しにくい状態となっています。

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非喫煙者では、歯石の付着に伴って出血しやすくなります。しかし、喫煙中止者、喫煙者(10本/日以下)喫煙者(11本/日以上)の順に出血しにくくなります。さらに、喫煙者、(11本/日以上)では、歯石の程度による出血のしやすさの差はほとんどなくなります。
(J Periodontol,75,2004,16-22:図2)
また、喫煙者では、プラーク量が同じ程度の非喫煙者と比べて歯石が多いことや歯周病が下顎前歯部や上顎舌側に多いことも報告されています(Periodontology 2000,44,2007,178-194)

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今からでも遅くない!
禁煙を開始してみましょう。

禁煙すれば治療効果があがる!?

歯周治療の効果は禁煙すれば上がりやすくなることが報告されています。禁煙によって少なくなっていた出血は、禁煙することで増加しますが、これは血流が回復してくるためたと考えられています。(Periodontology 2000,44,2007,178-794)

歯周ポケット深さの改善値

禁煙による歯周ポケット改善効果


喫煙の影響は自分だけではない‥・
~受動喫煙(副流煙)の恐怖~

たばこの煙は、喫煙時にたばこ自体やフィルターを通過して口腔内に達する「主流煙」と、これが吐き出された「呼出煙」、及び点火部から立ち昇る「副流煙」に分けられます。
ニコチンなど各種有害物質の発生は主流煙より副流煙の方が多く、毒性が強いと言われています。
喫煙は、喫煙している本人だけではなく周りの人にも影響を及ぼします。
大切な家族や周りの方への影響についても考える必要があります。
また、喫煙していない人は他人の吸っているタバコの煙を吸わないように注意する必要があります。

◆ 母体から胎児への影響も受動喫煙

妊婦の喫煙によって体内に吸収されるニコチンと一酸化炭素が、胎児と胎盤系を低酸素状態にするため、胎児の発育障害が引き起こされるといわれています。
それにより、流産、早産、死産、低体重児、先天異常、新生児死亡のリスクが高まることが明らかになっています。
しかし、喫煙していた人でも、妊娠前に禁煙した場合、これらのリスクはたばこを吸ってない妊婦と同じレベルになるといわれています。また、妊娠初期に禁煙することによっても、リスクを軽減することができるといわれています。もちろん、副流煙による胎児への影響も同じですので、家族での禁煙が必要です。

◆ 受動喫煙している?していない?

体内に吸収されたニコチンは代謝されてコチニンを生じます。喫煙している方の体内から高濃度のコチニンが検出されることは言うまでもありませんが、喫煙しない人の場合は、副流煙を浴びていなければ体内からコチチンは検出されず、体内ニコチン濃度と受動喫煙の程度には高い相関があるといわれています。
よって、体内のニコチン濃度を調べる(血液や尿から調べられます)ことにより、受動喫煙の程度を計ることが出来ます。

◆ 少ない受動喫煙でも歯周病に影響する!?

唾液のニコチニン濃度が1~7ng/mLと0ng/mlの群とを比較すると、アタッチメントレベルにおいて有意に差があり、また、1~7ng/mLの群においては歯周病のリスクとの関連性があることが報告されています。
喫煙している人の唾液のニコチニン濃度の平均は143ng/mlに及ぶので、副流煙による影響は非常に小さいのですが、それだけでも歯周病に影響することがわかります。

サンスター 歯ッピースマイルクラブ Vol4・Vol5より引用